
こんにちは、マサシです。
先日、AnthropicのFable 5という新しいAIモデルが出ました。
で、SNSを見ていると「強いモデルが使えるうちに、今やっておくべきこと」みたいな話題をよく見かけるんですね。
ドキュメントを整備し直すとか、これまでの学びをルール化しておくとか。
僕も半信半疑でやってみたんですが、これが思った以上に効きました。
で、作業しながらふと考えたんです。
「じゃあ、Fable 5でFable 6を作ってもらったらどうなるんだろう?」

え、AIでAIを作るってこと?そんなの個人にできるんですか?

モデルの学習そのものは無理だね。でもこの問いを真面目に考えたら、個人事業主にこそ関係ある答えにたどり着いたんだよ。
今回はその話を、僕が自分の仕事場で実際にやっていることベースで書いてみます。
「モデルは作れない。でも土台は作れる」
AIの世界には「再帰的自己改善」という言葉があります。
AIがAI自身を賢くしていく、というテーマです。
もちろん、僕たちがモデルの中身を触ることはできません。
でも、視点を変えるとこうなるんですよね。
次のモデルが最高のパフォーマンスを出すための「環境」は、今のモデルで作れる。
AIの仕事の質って、実はモデルの賢さだけでは決まりません。
「どんな資料を読ませたか」「何をルールとして伝えてあるか」で驚くほど変わります。
同じモデルなのに、隣の人と成果が全然違う理由はだいたいここです。
つまり、今のAIと一緒に自分の仕事のドキュメントを整備しておくことは、ある意味「Fable 5でFable 6(が来た日の自分の環境)を作っている」ことなんです。
何もしないと、毎回ゼロから説明することになる
逆のパターンが、少し前までの僕でした。
新しいモデルが出るたびに、「調べ物はまず要点3行でまとめて」「ファイル名はこの形式で」「前にも言ったけど、専門用語はかみ砕いて」……と毎回説明し直す。

あー、それ僕もやってます。モデルが変わるたびに、また一から教え直し……。

冷静に考えると、新入社員に同じ研修を何回もやってるのと同じなんだよね。しかもその新人、次も忘れてくる(笑)
モデルがどれだけ賢くなっても、あなたの仕事の文脈を知らなければ初日の新人と変わりません。
一方で、学びを文章として書き溜めてある人は、新しいモデルが出た日にそれを読み込ませるだけ。
ここでスタートラインに差がつきます。
現場でやっている3つの資産づくり
じゃあ具体的に何を書き残しておくといいのか。
僕が自分の業務まわり(サイト運営や日々のナレッジ整理)でやっているのは、この3つです。
判断の「理由」まで書き残す
議事録やメモは多くの人が残していると思います。
ただ、AIに効くのは「何を決めたか」より**「なぜそう決めたか」**の方なんですよね。
たとえば「自分のサイトはWordPressではなく静的サイトにした」だけでなく、
- 更新頻度が低く、運用担当がいなかったから
- 表示速度を最優先したかったから
という理由まで書いておく。
すると次のAIは、似た状況で同じ判断基準を自分で使えるようになります。
これは実際にやってみると、ちょっと感動するレベルで効きます。
ちなみに僕の判断ログ、実物はこんな感じの素朴なやつです。
1件3行、書くのに1分かかりません。

決定の「境界条件」を明文化する
ルールには必ず「どこまで適用されるか」の境界があります。
- この形式でまとめるのは、人に見せる資料のとき
- 自分用のメモなら、走り書きでいい
- 例外的にこうするのは、こういう場合だけ
人間同士なら空気で伝わる部分ですが、AIには書かないと伝わりません。
逆に、境界条件まで書いてあるルールはモデルが変わっても壊れにくい。
長持ちする資産になります。
「将来のAIが読む前提」で書く
これが一番のポイントかもしれません。
これまでの社内ドキュメントは「未来の自分」や「引き継ぎ相手」に向けて書くものでした。
そこに**「次のAIも読者になる」**という前提を足すんです。

AIが読者……。具体的には何を変えればいいんですか?

大したことじゃないよ。略語に一言説明を添える、「例の件」みたいな指示語をやめる、ファイルの冒頭に「これは何のための文書か」を書く。それだけで読解精度が目に見えて変わる。
今日から始めるなら
大がかりな仕組みは要りません。
僕が実際にやってきた順で言うと、こんな感じです。
- 今のAIに「自分の仕事のルール」を書き出してもらう——普段のやりとりで伝えてきたことを、AI自身に整理させるのが一番早いです
- 直近1ヶ月の「訂正した場面」を振り返る——AIの出力を直した箇所は、そのままルール化の候補です
- 判断ログを1ファイル作る——「決めたこと・理由・境界」を1行ずつでいいので追記していく
- 置き場所を1つに決める——散らばっていると、読み込ませるときに漏れます
- 月1回、AIに読ませて「わかりにくい箇所」を指摘してもらう——書いた本人には見えない曖昧さを、AIはよく見つけてくれます
試しに、この記事を書きながら上の判断ログをAIに読ませて「曖昧なところある?」と聞いてみました。
返ってきたのがこれです。

「目安って何字までのこと?」——言われてみれば確かに、書いた本人は全然気づいてませんでした。
この往復を月1回やるだけで、ログがどんどん頑丈になっていきます。
ポイントは、完璧なドキュメントを目指さないこと。
薄くても「更新され続けているログ」の方が、立派だけど止まった資料より価値がある——これは運用してみて実感しています。
最後に:世代交代は「差がつく日」
AIモデルの世代交代は、これからも定期的にやってきます。
そのたびに全員のスタートラインがリセットされる——のではなくて、実際には準備してきた人だけが一気に前に出る日なんだと思います。
学びを書き溜めてきた人は、新しいモデルにそれを渡すだけでいい。
何も残していない人は、また最初から説明することになる。
モデルそのものは作れなくても、次のモデルを最強にする土台は今日から誰でも作れます。
まずは、今使っているAIとの仕事で「これは伝えてよかったな」ということを、1つファイルに書き出すところから始めてみてください。
※この記事は2026年7月時点の実務経験に基づいてまとめています。AIモデルやツールの仕様は日々変わるため、最新の公式情報もあわせて確認してくださいね。

